「海コンの仕事、実際どんな感じ?」と気になっている方に向けて、実際にあった1週間の記録を公開します。作り話でも理想イメージでもなく、自分のノートに記録してある本当のデータに基づいています。
なお、このページを書いているのは、Kaicon.jpの中の人(現役の海コン運転手、経験3年)です。
その週の5日間
| 曜日 | 始業 | 行き先 | 片道距離 | 走行距離 | 終業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月 | 深夜 | 静岡県清水区 | 約170km | 424km | 夕方の早い時間 |
| 火 | 早朝 | 午前:ヤード返却 午後:千葉県富津市 | 約55km | 165km | 夕方の早い時間 |
| 水 | 深夜 | 栃木県岩舟町 | 約140km | 317km | 夕方の早い時間 |
| 木 | 早朝 | 神奈川県相模原市 | 約45km | 145km | 夕方 |
| 金 | 深夜 | 埼玉県狭山市 | 約100km | 268km | 夕方 |
始業時刻を並べると、深夜・早朝・深夜・早朝・深夜。その日によってバラバラです。
ちなみに、私の自宅から職場(横浜・本牧エリア)までの通勤時間は、朝の出発で約1時間、深夜出発の場合は道が空いているので約40分です。帰りは渋滞するため約1.5時間かかります。車庫での車両入れ替えなどもありますから、自宅出発は始業時刻の1.5時間前、帰宅は終業時刻の2時間後くらいになります。
【注釈1:始業時間と出発時間は別物です】
最初にまず補足しておきます。上の表の「始業」は、車庫でヘッドに乗車して始業手続きを行った時刻です。始業後すぐに現場へ向かうわけではなく、ヘッドを運転して自分が担当するコンテナが載ったシャーシが駐車されているシャーシプールまで移動し、ヘッドとシャーシを連結してから出発します。この一連の作業に15〜30分かかるため、始業時刻と実際の出発時刻には15〜30分の差があります。これが地味に厄介な問題を生むことがあります。運送業界には「430ルール」と呼ばれる法的規則があり、4時間走ったら30分休憩しなければなりません。この4時間の起点は始業時刻です。つまりシャーシ連結まで30分かかれば、最初の休憩までに実際に走れる時間は3.5時間しかありません。私の場合は長距離の日は途中で1時間仮眠を入れるので問題になりませんが、一気に走り抜けようとするベテランには頭の痛い問題です。
【注釈2:現場からの帰還後について】
この記録には現場から自社への帰還時刻は記載していませんが、帰還後すぐに終業になるわけではありません。
帰還後にこなす仕事はおおむね次のような内容です。現場から持ち帰った空コンテナのヤードへの返却(輸出の場合は実入りコンテナの搬入)、翌日配達分のコンテナをヤードから搬出して自社シャーシプールへ台切り(シャーシをヘッドから切り離して駐車すること)、近場の現場へのコンテナ配達、現場に台切りしてあったコンテナの回収——こういった仕事をその日の担当ドライバー全員で手分けしてこなします。
【注釈3:残りの仕事量と終業時間】
仕事の割り当ては無線で行われます。ドライバーは1本のコンテナの仕事が終わると無線で事務所に報告し、事務所はその日の残り案件のいずれかをそのドライバーに割り当てます。これを繰り返しながら全体の仕事が減っていき、残数がゼロになった後に報告してきたドライバーから順に終業となります。そのため、同じ日でも早く終わる人もいれば、夜までかかる人もいます。
上の記録の終業時刻は、事務所から「今日の仕事は終わりです」と告げられた後、ヘッド車内で終業手続きを行った時刻です。自社がある本牧で告げられた場合は近場で終業手続きしますが、遠方で告げられた場合は本牧に戻ってから終業手続きを行うため、告げられた時刻と終業時刻の間に大きく差がつくこともあります。
1日ずつ見ていく
月曜日:深夜始業、静岡県清水区へ
始業は深夜帯。自宅を出るのは真夜中です。行き先は静岡県清水区、片道約170kmです。
「高速で一気に行くんでしょ」と思った方、違います。この清水区の現場は往復ともに一般道です。横浜から箱根を越えて清水港まで、ひたすら一般道を走ります。
着指定はいわゆる朝イチだったと思います。途中、箱根のパーキングエリアで1時間ほど仮眠するのがこのルートの私の定番パターンです。目が覚めたら箱根を下って清水港へ向かい、現場近くの大型車対応コンビニで朝食を取りながら着指定の時間を待ちます。
「現場近くで時間調整できる場所を事前に把握しておく」というのも、経験を積むにつれて身についていくノウハウのひとつです。
終業は夕方の早い時間でした。
火曜日:早朝始業、午前ヤード返却・午後は千葉県富津市へ
前日の月曜が深夜始業・片道170kmだったため、この日は比較的ゆっくりした朝になっています。これは会社が前日の勤務内容を考慮してシフトを組んでくれているからです。同じ海コン会社でも、こういった配慮をしてくれる会社とそうでない会社もあるかもしれません。同じ職場のベテランドライバーの中には、こういった配慮が不要な人もいます。
午前中はコンテナヤードへの返却作業などをこなし、午後から千葉県富津市へ。片道約55kmの近場ですが、この日の富津市の現場は初めて行く場所でした。
初めての現場には、独特の気の遣い方があります。まずルート確認——海コントレーラーは通れる道と通れない道があるので、事前に入念に検討しておく必要があります。そしてもうひとつ重要なのが、現場へのアプローチ方法です。
現場の入り口がどこかはわかっても、その道路から右折で入るのか左折で入るのか、頭から前進で入るのか、それとも道路からバックで入るのか——これがわからないとアプローチの仕方が決まりません。地図を見ればわかる現場も多いですが、行ってみないとわからない現場も多いのです。初めての現場の前日は、こういった下調べと検討に時間を取られます。
終業は夕方の早い時間。拘束時間はこの週の中では比較的短い日でした。
水曜日:深夜始業、栃木県岩舟町へ
火曜が遅めの始業だった分、水曜はまた遠くて早い現場が割り振られました。始業は深夜帯、行き先は栃木県岩舟町、片道約140kmです。
ルートは首都高速で新井宿まで行き、そこから先は一般道です。月曜の清水区が往復完全一般道だったのと比べると、首都高速に乗れる分だけ少し楽なルートです。
岩舟町はよく行く現場で、近くに道の駅があるのでそこで仮眠して着指定の時間まで待つのがいつものパターンです。ただし、未明の時間帯に到着するため、道の駅の中の店はまだ開いていません。しかもここはコンビニもありません。
そのため、出発前の通勤途中にコンビニに寄って朝食のパンと昼食のおにぎりをあらかじめ買っておきます。現場での作業は朝のうちに終わって帰路につくため、道の駅で昼食を取る気分にもなりません。というか、早い時間帯だとまだ道の駅の飲食店は開店前です。北関東の別の現場だと、帰路に道の駅で昼食を食べてから帰ることもありますが、岩舟町のパターンはそうではありません。よく行く現場ほど、こういった細かい行動パターンが最適化されていきます。
終業は夕方の早い時間でした。
木曜日:早朝始業、神奈川県相模原市へ
前日の岩舟町が早くて遠かったため、この日はまた遅めの始業です。片道約45km、神奈川県内の現場。距離だけ見ると楽そうですが、終業はこの週で最も遅い日になりました。
近場だからといって楽とは限らないのが海コンの仕事で、ヤードでの待ち時間が長かったり、現場でのデバン(貨物の積み下ろし)作業が遅い時間まで続いたりすることがあります。
それから個人的な話をすると、神奈川県内の現場は実は苦手です。理由は、現場近くにトレーラーで待機できる場所を見つけにくいからです。最近増えている大型物流施設は敷地内に待機場が完備されていて助かりますが、そうでない現場では待機場を見つけられず、やむなく近くに勝手に設定した周回ルートを回りながら着指定の時刻まで時間調整することもあります。1周15分くらいの道をぐるぐると廻りながら時間を潰すわけです。省エネその他の観点からはよろしくないのはわかっていますが、下手に路駐して交通渋滞を引き起こすわけにもいきませんし、他にどうしようもない状況があるのも現実です。
終業は夕方の遅い時間でした。
金曜日:深夜始業、埼玉県狭山市へ
木曜の終業が若干遅かったため、会社が配慮してくれて金曜も比較的近場になったと思われます。それでも始業は深夜帯、片道約100kmです。
狭山市はよく行く倉庫で、敷地内に待機場があるため早めに着いても構いません。途中で待機場を探す必要もないので、気が楽な現場のひとつです。よく行く現場でこういうことが把握できていると、精神的な余裕が全然違います。
終業は夕方。比較的長めの勤務時間で週を終えました。
1週間を振り返ると
始業時間の不規則さ
深夜・早朝・深夜・早朝・深夜——この5日間、同じ始業時間は一度もありません。前日の勤務状況を踏まえながら翌日のシフトが組まれるため、毎朝同じ時間に起きるという生活リズムは基本的にありません。
会社の配慮という要素
この週のシフトには「遠くて早い→近くて遅め→遠くて早い→近くて遅め→近め」という流れがあります。前日の疲労を翌日のシフトで調整してくれているわけです。こういった配慮をしてもらえるかどうかは会社によって大きく異なります。海コン会社を選ぶ際のひとつの視点として覚えておくといいと思います。
「待機場問題」という仕事の裏側
現場への到着時間を調整するための待機場所を確保する、というのは海コン運転手の仕事のひとつです。道の駅、コンビニ、現場の敷地内——どこで待てるかを把握していくのも経験のうちです。初めての現場ではこれが一番気を遣います。待機場所をどうしても見つけられなければ、やむを得ずぐるぐる回る周回ルートを設定することもあります。
食事の段取りも仕事のうち
遠方の早朝現場では、食事の調達も事前に考えておく必要があります。現場近くにコンビニがない場所もあるため、通勤途中に朝食と昼食をまとめて買って出発することもあります。経験とともに、こういった細かい段取りが積み重なっていくわけです。
終業時間が遅くなる理由
終業が遅くなる理由はいくつかあります。単純に仕事量が多くてなかなか終わらなかった、ヤードに並んだら待ち時間が長かった、現場でのデバン(貨物の積み下ろし)作業が遅い時間まで続いた——こういった理由で遅くなることは珍しくありません。
1週間の走行距離
この週の走行距離を合計すると、5日間で1,319kmになります。東京から博多までの距離にほぼ相当します。1日あたりにすると約260kmで、ほぼ毎日中距離輸送をこなしている計算です。毎週同じ距離を走っているわけではありませんが、海コン運転手の仕事のスケール感として参考にしてください。
まとめ
こうして5日間の記録を並べてみると、「海コンはきつい仕事だな」と感じる方もいれば、「意外と面白そう」と感じる方もいるかもしれません。正直なところ、最初の頃は寝不足がきつかったです。ただ、1年ほど経つと体も頭も慣れてきます。
「規則正しい生活がしたい人には向かない」——これは間違いありません。一方で、毎日行き先も時間も変わる仕事を楽しめる人には向いています。よく行く現場でのルーティン——どこで仮眠して、どこで食事を取り、どこで時間調整するか——が少しずつ積み上がっていくのも、この仕事の密かな面白さのひとつだと個人的には思っています。
海コン運転手の仕事内容についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
→ 未経験から挑戦できる?海コン運転手の仕事内容と働き方をQ&Aで解説
【注意】
この記事の内容はあくまで一例です。同じ会社でもドライバーによっては仕事もやり方も異なりますし、会社が違えばシフトの組み方、行き先の傾向、待遇など、あらゆる面でさらに大きく異なります。そもそも私自身も毎週同じパターンで仕事しているわけでもありません。この記事を読んで「海コン運転手はこういうものだ」と決めつけず、就職・転職を検討する際は実際に各会社に問い合わせて確認するようにしてください。