2025/11/08

Kaicon.jp

狭すぎて頭が起こせない? 海コン現場で使える「押し込みバック」のコツ

海コントレーラーの運転をしていると「なんでこんな狭い現場に、こんな巨大な海コンを呼びつけるわけ?w」と思う場面にしばしば遭遇するわけですが、「海コンとはそういうもんだ」というベテランの皆様のご助言を脳裏に浮かべつつ、その際に使える技のひとつ「押し込みバック」を紹介したいと思います。

この技は、なんとかシャーシを現場の間口に差し込めたものの、「狭すぎて頭(ヘッド)を起こすスペースが無い!」という状況に陥った時に使います。

これは知らないと仕事にならないほど基本的な技で、ネット動画でも解説が出回っています。この記事では、その「押し込みバック」を図解しながら整理してみます。

ステップ1:90度折りの状態でシャーシを間口中央に入れる

ここに至るまでの過程も本来は解説が必要な気がしますが、それはこちらの記事をどうぞ。

今回は「なんとか間口に差し込めたが、頭を起こすスペースがない!」という状態を起点とします。
逆に言えば、この90度折りの状態まで持ち込めれば勝ちです。

※「頭を起こす」とは、バック時に折れ角がついた状態からハンドルを切って、ヘッドの角度をシャーシの角度に追従させながら車体をまっすぐにしていく運転操作。

ステップ2:90度折りを保ったまま、わずかに前進

まず、90度折りのまま少し前進します。
シャーシの車軸中心を軸に、その場で旋回するようなイメージで、ヘッド前輪の切角を操作しましょう。

ステップ3:ハンドルを逆に切ってシャーシを伸ばす

次に、ハンドルを逆方向に目一杯切って、ほんの少し前進します。
周囲の障害物や壁に十分注意しながら慎重に操作しましょう。

この動作で、シャーシがわずかに伸び、頭を起こすためのスペースを稼ぐことができます。
ポイントは、シャーシ車軸中心は少し前に出るだけで、左右の位置関係はほとんど変わらないことです。

※「シャーシを伸ばす」とは、折れ角がついた状態から前進し、車体をまっすぐにしていく運転操作。

ステップ4:空いたスペースを使って頭を起こす

シャーシを伸ばしてできたスペースを使い、頭を起こしていきます。
一度でうまくいかない場合は、ステップ2〜4を繰り返します。

こうして、一発では入らないような狭い間口でも、トレーラーをバックで押し込むことができます。

【シミュレーション動画】押し込みバックの車両軌跡

下記は、海コントレーラーシミュレータで作成した「押し込みバック」の走行軌跡アニメーションです。
図解だけでは分かりにくい「シャーシ車軸中心を軸にした動き」や「折れ角90度から伸ばして頭を起こすスペースを稼ぐ挙動」などを、実際の運動モデルに基づいて可視化しています。

■ 本シミュレーションの前提条件
・車両:40ft/3軸シャーシ
・道路幅:約6m
・間口幅:約8m

本アニメーションは、実際の現場を想定し、道路幅6m・間口幅8mという条件下での『押し込みバック』を再現したものです。

なお、道路幅5.5mも検証しましたが、本アニメーションのように道路と間口が丁字路構造の場合、後進時のシャーシ後輪の軌跡が間口奥の幅員内に収まらず、いわゆる脱輪に相当する状態となるため成立は困難でした。
ただし、間口の奥に十分なスペースがある場合、あるいは間口が単なるゲート形状で斜め進入が可能な場合には、道路幅5.5mでも成立すると思われます。

この「押し込みバック」は、最初は感覚をつかむまで苦戦するかもしれませんが、一度コツを覚えればどんな現場でも冷静に対処できるようになります。焦らず、空間と角度の感覚を掴む――それが“狭い現場を制する”第一歩です。